コラム

Web消費とブランドロイヤリティ

マーケティングリサーチでブランドロイヤリティを捕らえるときの指標は

①ブランドの認知率
②ブランドの認知内容(よいブランドイメージ)
③購入経験(高い顧客満足度)、頻度、リピート購入率
④購入意向率(選択率)

が代表的です。
これらの個別の指標(数値)や複合指標(単純には合計数値)が競合と比べて高ければロイヤリティの高いブランドになります。
消費者を基準に見ると、特定のブランドのこれらの数値が高い消費者をロイヤルユーザーと言います。
売り上げやシェアの数値は別にして(例え低いシェアでも)ロイヤルユーザーを多く抱えたブランドはブランド価値が高いと判定されます。
ただ、現実のマーケットでは、ブランドとブランドごとの売り上げ数(金額)の関係はzipの法則に従うことが多く、低いシェアだが、ロイヤルユザーが多いというブランドはあまり発見できません。
ここまでの話は、リアルなマーケット(店頭販売)を前提にしています。
では、最近、急激に伸びているWeb消費市場で、ブランドロイヤリティ概念をどう捕らえたらよいのでしょうか。

Web消費というと「ロングテール」です。(正確にはWeb2.0と言わないといけない?)
ロングテールは、簡単に言うと、zipの法則のグラフ(指数分布)の長い裾野でも市場が存在できるようになったと言うことです。
リアル消費市場では、情報配信や情報処理の制約で市場(取引)が成立できなかったのがWeb2.0によって取引ができるようになったのです。
以上からロングテールとブランドロイヤリティ概念は結びつきません。
そもそもWeb消費市場ではブランドロイヤリティは成立するのでしょうか。
例えば、楽天市場で買い物しようとしたとき、検索窓にブランド名を入れてもらえればロイヤリティといえそうです。
しかし、商品ジャンルから入って、スペックと価格で比較検討してクリックというパターンが現実的でしょう。
スペック、価格が同じなら知っているブランドを選ぶ程度の力しかなさそうです。
Web消費では、ロイヤリティをリアル市場とは別に考え直す必要がありそうです。
Web消費では購入記録が正確に残ります(残せます)から実態からのブランドロイヤリティは正確に計算できそうです。
ただ、これも現在は、消費者が自分で蓄積するより店舗側に蓄積される場合が多いようです。
リサーチ会社としては「おいしい」データですが手に入りません。

2008,3

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