コラム

Web消費は「時価」で勝負

スキー人口は減少を続けているそうです。(こういうときは、スノーボーダーも含んだ「スキー人口」なんでしょうね。)
混雑してないスキー場で、「リフト券の売り買いは禁止されています。」という貼り紙を多く見かけました。
毎年、スキーには出かけていますが、今年は特に目立った気がします。
ダフ屋行為と見なしているのでしょうが、リフトの1日券を買って、昼にビールを飲み過ぎて、滑るのが危険だから駐車場にもどろうとしたその時に、今、これからゲレンデに行こうとする人に出会い、1日券を半額で売ることは、ダフ屋行為に当たるのでしょうか?
各都道府県の迷惑防止条例の内容がどうであれ、こういう偏狭なサービス精神しか持っていないからスキー人口は減ってしまうのです。(チョット見当違い?)

今回のテーマのWeb消費でいうと、ネットオークションでコンサートチケットを売買したら、これもりっぱなダフ屋行為になるらしいです。(ネットから得た情報ですが。)
ネットオークションを各都道府県の迷惑防止条例で取り締まるというのも笑える話です。
ネットオークションを含めたWeb消費での消費者の価格感覚を一言でいうと、
  「時価」感覚の浸透による定価概念の破壊。
です。
定価概念は、統制経済のもとで最もはっきりと認識され、機能します。
日本では、戦中・戦後の統制経済体制から高度経済成長期まで定価概念は一定の力を持っていたと考えられます。
マーケティング的には、販売現場での「安売り感」の演出(2割、3割引きは当たり前)という機能がありました。
その後、デフレの進行により、定価(標準小売価格)の意味は決定的になくなりました。
メーカー側はオープン価格、小売り側はEDLP指向、定額ショップ(100円ショップ)などで定価概念はほぼ完全に破壊されました。
消費者側に多大な利益をもたらしたこの定価破壊(価格破壊)は、一方で、「一物一価」という安心感を奪いました。
ホントに安い(得な)買い物なのかという不安感(認知的不協和)が強くなったのです。
この定価概念を代替しているのが「値頃感」といえます。
定価の消えた販売(購買)現場では、自分の「値頃感」と比較して高い、安いと判断しています。
日頃買う「ペットボトルの飲料は150円前後」から、買う予定は特にないが「都心の3LDKマンションは6千万前後(?)」といった値頃感が新しい基準になります。
値頃感は、広告・宣伝を見たり、普段の買い物行動の中から作られるのが一般的です。
そして、Webが値頃感をつくるのに一役かっています。
カカクコムのようなサイトをチェックしたり、楽天をサーフィンしているだけでも自然と値頃感が生まれてきます。
自分が始めて購入するような新しいジャンル(車、家)でも数時間で値頃感が形成されます。
さらに、Web消費は値頃感さえ崩して完全な「時価」市場に持って行くパワーを持っていそうですが、現在のところはっきりとは書けません。
ネットオークションだけでなく、普通のWeb消費でも「時価」感覚がでてきています。

2004,4

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