コラム

ケータイが変えた生活

第9回のアウラセミナーの結果です。
日経生活モニターの調査結果「ケータイを持つことで生活がどのように変化したか」PLUS1の記事

①腕時計を持たなくなった
②待ち合わせの場所がアバウトになった
③電車の中で雑誌を読まなくなった
④アドレス帳を持たなくなった
⑤家族の(おそらく子供の)人間関係がわからなくなった(家電を経由しないで外と会話)
⑥家族との会話(通話)が増えた

この定量調査(n=2800ぐらい)結果から定性調査を発想してインタビュー結果をまとめるというのがセミナーのテーマでした。
携帯電話という商品ジャンル全体ですからマーケティングリサーチのテーマとしては「ゆるい」「大きな」テーマになりましたが、セミナーなので仕方ありません。
まず、定量調査のチェックポイントとして母集団、抽出方法、サンプル数、調査票(表現)をあげました。
特にマスコミのリサーチ結果は、サンプル数と調査方法(ネットリサーチかどうか)がわかればいい方で、上記のチェックポイントは絵に描いた餅となってしまいます。
今回取り上げた日経PLUS1は、毎週土曜日に別紙として折り込まれますが、トップはいつも調査結果が載ります。
セミナーでは、今年1月10日号の調査結果を使いましたが、この号に限らず不思議な点があります。
それは、100%棒グラフなのに%ではなく回答者数が表示される、合計サンプル数が表示されない、の2点です。

普通は、そう思う(50.0%)、変わらない(35.1%)、もとからしない(15.9%)と表示して、グラフの右横にn=2798とするはずですが回答者実数が表示されます。
しかも、6本ある棒グラフのサンプル数(足し上げる)が違います。
こうすることのメリットが今でもよく理解できていません。

定性調査は1on1インタビューを2人、グループインタビュー1gr(男女混合5人)を実施しました。
結果から分かったことは、

  • 高校生の頃から携帯を持った人は生活の変化がケータイによるものという認識がない。
    従って、腕時計を「もとからしない」と回答した人の中に「腕時計を持たなくなった」がいくらか含まれる可能性が出てきたし、質問文自体が意味がない(理解できない)人がいたことが想定される。
  • 共感できた生活の変化は「待ち合わせがアバウトになった」という事実で、場所、時間ともおおよそ決めておいて「着いたら探す」というパターンになっている。
    待ち人が来ない場合、待ち合わせ場所を離れれて探せない、連絡方法がない、というストレスの体験が多く語られた。
  • 家族のコミュニケーションでは、親子間のツールとしてケータイメールが重要な役割を果たしているのに対して夫婦間のメールは「メシ、フロ、ネル」しか言わない昔の亭主がメールを使うようになっただけである。
    妻が夫に買い物を頼む時も品物の名前だけのメールである。
    いずれにしろ、ケータイは家族の間では、メールが使われ、通話は少ないようである。
  • 家族がどんな人とつき合っているかわからなくなったということは、子供の友人関係より、亭主の友人・会社 関係がわからなくなったという認識の方が主婦の間で強い。

というようなことです。
注目できるのは最後のポイントで、ケータイの特にメール機能が家族関係(夫婦関係)に与える影響は大きいこと が予測出来ます。

2009,4

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