コラム

実験経済学とマーケティング分析(差の差分析の使い方)

2021年ノーベル経済学賞は「自然実験」と言われる実験経済学の手法を提案した3人が受賞した。
主要な概念は、因果推論(相関関係と因果関係)、RCT(ランダム化比較試験)である。
A/BテストもRCTと言えるが、今回は「普通の」ネットリサーチで使えそうな「差の差分析」を研究する。

<ケース>
弊社のユーザー会員は、ネットで自由に申し込め、メルマガ発刊、オープン・会員限定キャンペーン、(まれに)イベント開催などの特典がある。
会員組織の維持管理には相当の経費がかかっており、上層部からこの会員組織の効果測定を言われている。*製品はあらゆるルートに配荷されている

<設計>
ひとつorいくつかのオープンキャンペーンで左図のように調査設計する。 キャンペーンごとに調査を行う。
1~4のセグメント個別の調査でもよい。

<差の分析>
・1の購入率ー全体購入率=会員効果+施策効果
・1の購入率ー2の購入率=会員効果
・1と2の購入率ー3と4の購入率=施策効果

<差の差分析>
・(1の購入率ー全体購入率)ー(1の購入率ー2の購入率)
  =会員効果(厳密な意味での)
・本来はトレンドデータと差の差分析をおこなう

<メタ分析>
・上記の分析を何回か実施し、メタアナリシスを行う。
・介入をインフルエンサー、イベントなどに変えてメタアリシスを行う。
・指標(KPI)に購入金額、認知率、好意度、リピート購入などを使う。

*左記の本などからの方法論だが、現場での有効性(使えるかどうか)の検証はまだ、不十分である。
*『RCT大全』では、アイエンガーの有名な「ジャム実験」も追試で3割程度の再現性と切り捨てられている。

 

2021.10

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