コラム

ゲーミフィケーションで対象者から協働者へ

ゲーミフィケーションが騒がれる以前から定性調査ではゲーミフィケーションの要素を取り入れていた。
調査主体と調査対象が面と向かうので「質問」対「回答」の関係ではインタビューではなく「尋問」になってしまう。
ラポール形成からテーマの話、エンディングまで対象者を「飽きさせない」「回答しやすい」雰囲気を作るために「楽しくなる(苦痛を和らげる)」工夫がたくさんあみだされてきた。
ここで、ゲーミフィケーションをもっと深くとらえて、調査主体と対象者の「融合」を図るツールとして考えたい。

従来の「工夫」はどんなに対象者がリラックスしても調査主体(モデレーター)対対象者の関係は崩していない。
我々がめざす究極は調査主体と対象者の区別がなくなる状況である。
対象者には、ひとり、あるいは5人の「協働者」としてインタビューに参加して欲しいのである。
大げさに言えばパラダイムの転換である。
その目的と成果は

  • リサーチテーマに対するエンゲージメント
  • クライアントの商品やブランドに対するエンゲージメント

の生成と強化ということになる。

そこでゲーミフィケーションを使って実験した。
ゲーミフィケーションを「課題、報酬、交流」の3要素に分解する立場を採用した。
そして、

<課題>

  • 両店舗(サンクスとファミマ)の店長として現場(店舗)を観察して欲しい

<報酬>

  • よいアイディアには1ポイントずつ加算してインタビュー終了あと1ポイントに付き10円を支払う

<交流>

  • クイズつき「他己紹介」
  • ミニディベート

の内容のグループインタビューを実施した。
結果は、
店長の立場で店舗観察は非常にうまくいった。

  • こちらが気づかないようなポイントに気づいて「改善点」をあげてくれた
  • スパイメガネ(?)のデータもあったので楽しそうだった

報酬に関しては今回は実施を見送った。
「他己紹介」の効果は実証済みだったが、今回も効果的であった。
ミニディベートはディベートらしくはなかったが、通常のインタビューとは違う効果が得られた。

今後も、「対象者を協働者」とするインタビューの方法論を確立したい。
これがうまくいくとJMRAの規定にひっかかるかもしれないが、早くそうなりたい。

*この方法論に関心のある方はご連絡いただければ説明に伺います。

2012,4

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