コラム

ブランド認知と脳科学

マーケティングリサーチで「ブランド認知」は重要な指標です。
認知されないブランドは基本的に買われません(間違って買われることはある)のでマーケティング施策の達成すべき最低ラインの結果と言えます。
認知されているということは、ブランド名が記憶されているという解釈で間違いないと考えられます。
脳科学の発展よって生物(ヒト)の記憶のメカニズムの相当部分が明らかになって来ています。
極めて簡単に言うと感覚器官から伝えられた神経情報は、大脳皮質・側頭葉で認知に変換され「海馬」に送られます。海馬の中を「グルグル回る」(いい加減な例え)うちに処理、統合、削除などが行われ、記憶されるべき情報だけが側頭葉に送られ、そこで貯蔵(記憶)されるというプロセスを経ます。
神経情報はニューロン(神経細胞)のシナプスの発火によって伝えられ、ニューロン間のシナプス発火のパターン(形)で記憶され、思い出す時(これがブランド認知調査)は同じパターンが発火するそうです。
そして、発火パターンの固定(記憶)は

  • 同じ発火が繰り返される。(ヘッブの法則)
  • 既にある記憶との関連で強化される。(文脈依存の連辞関係)
  • LTP(シナプス結合の増強が長期的に持続する)によっても強化される。
    (集中力や「好きこそものの上手」みたいなもの)

などの特性をもっているそうです。
この特性は、

  • (非難は大きいが)テレビCMなどのくり返しはそれなりに効果がある。
  • 強いブランドのバラエティ展開された商品は認知率が高い。
  • 刺激的な画像のCMは記憶されやすい。好きなジャンル(メーカー)のブランドは認知されやすい。

などのマーケティング上の知見とおおよそ一致していそうです。

以上の話は主に池谷裕二さんの本から得ています。
脳科学とマーケティングが結び付いて「ニューロマーケティング」ということが言われています。
この2月にはアウラセミナーでもニューロマーケティングをとりあげる予定です。

2009,12

ページのトップへ