コラム

マジカルナンバー「7」

1回のグループインタビューで評価できるコンセプトやパッケージ案の数はどれくらいだ?という質問をうけることがあります。
一般消費者がコンセプトやデザインの違いを正しく識別し、評価できるのは5案程度が限界です。 5案程度という数字は経験的に言っていることですが、心理学的にもアメリカの学者が1956年に論文で書いているようです。
「マジカルナンバー7±2」(George A Miller1956)というタイトルです。(もちろん、原文は確かめてはいませんが。)
ミラーのいう「マジカルナンバー7±2」は、「人間の短期記憶の一般的限界数は7±2である」ということです。
ここから得られる教訓は、電話調査で、ブランド数を9個以上あげて、その中から好きなものを3つまであげてもらうことは、大きなバイアスになるということくらいです。

グループインタビューで「短期記憶」に頼った評価をとることはほとんどありません。
コンセプトやパッケージデザインは何回でも見直すことが可能です。
つまり、記憶力ではなく、識別能力と判断力の問題になります。
識別能力と判断力から考えると、1回に評価できる数は、「5±2」くらいが限界と考えられます。
評価する品目ジャンルと関与度によりますが、経験的に、7種類以上のコンセプトやデザイン案が提示されると  

  • どれがいいが判断できなくなる。 → 比較要素が多すぎる
  • 判断できても「理由」がはっきりしない。 → 「違い」が認識できていない

ことが多くなり、対象者は、

  • 2つないし3つくらいのグループ分けを行ってしまう。 → 識別数を減らす
  • いくつかの案を捨てて残りの中で判断する。 → 識別数を減らす

など勝手な合理化を行ってしまい、同一水準での比較ができなくなります。
従って、グループインタビューでは5案を目安とし、最大でも7案までに絞ってから実施すべきでしょう。
(これは、普通の消費者の場合であって、対象者が専門家やマニアの場合はこの限界はなくなります。)

7という数字は神話的な意味では「聖数」とされ、メソポタミア文明のころから特別な「数」とされていたそうです。
いろいろな宗教、文明で7にまつわるコトバはたくさんあります。
映画、ドラマでも登場人物の個性を識別できるのは、7人程度が限界のようです。

2004,7

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