コラム

健康コンセプトとダイエット

われわれは、消費者の健康概念を身体能力(美)の「回復、維持、追求」の3段階に分け、それぞれの段階で健康コンセプトを考えました。(当HP、トピックス「健康コンセプトの可能性」参照)
今回はダイエットコンセプトについて考えます。
われわれは、健康概念で「回復、維持、追求」すべき対象に身体能力だけでなく身体美を含めていました。(身体美はカッコつきですが)
身体の能力と美を健康概念で同時に扱うことに無理があるようにみえます。
身体能力はある程度計測可能(西洋医学によれば)で一般化しやすいのに身体美は個人感覚によるもので一般化は、身体能力よりも困難です。
しかし、商品やサービスのコンセプトとして健康を訴求するとき、身体能力よりも身体美に重点をおいた方が魅力的な(付加価値の高い)コンセプトになるという経験を積むことで、消費者の健康概念の中には身体能力と身体美が輻輳していると考えるようになりました。
そして、現在の高度に市場経済化された社会(先進国)では、女も男も「痩身」が身体美を象徴します。
運動神経がよくて、勉強も仕事もでき、積極的に明るく生きている人間にデブはいないということです。
肥満は、動きを愚鈍にさせ、仕事も遅く、ネクラで、食べることしか関心がない病人の一歩手前とされます。
以下のようなステレオタイプがあります。

   痩身(肥満でない) → 身体能力は高い → 健康 → 美しい(魅力)
   肥満(太っている) → 身体能力が低い → 不健康(疾病予備軍) → 醜い(美しくない)

このステレオタイプは、ビジネスの世界を想定し、肥満は知的能力も低くみられます。
肥満が認められるのは、全身的な身体接触をともなうアスリート(相撲、ラグビー)の世界と赤ん坊くらいかもしれません。(これらの人々も肥満とは表現されません。大きいとか、しまっていると言われます)
以上見てきたことからダイエットコンセプトを考えると、ダイエットの商品、サービスは

  • 健康概念に包摂されるものでなくてはならない。
  • その健康は身体美の訴求でなくてはならない。

の2点をクリアしている必要があります。
「何日で何キロ痩せる」だけを訴求するダイエットはコンセプトとして短命(流行)です。
ダイエットが身体能力の回復、維持に役立ち、より高い身体能力の追求にまで結び付かないとコンセプトとはなりません。
その上に身体美をコンセプトに組み込めば強力なものになります。
単に「痩せる」から、美しい「身体を作る」方向を強調すればよいのです。
引き算だけのダイエットから足し算、かけ算のダイエットの提案が必要です。

2007,8

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