コラム
リサーチの神学論争Ⅳ
「製品企画、商品企画?」「製品コンセプト、商品コンセプト?」「製品調査、商品調査?」
今回は製品なのか、商品なのか、の神学論争です。
Wikipediaの定義では「製品とは、主に工業において原材料を加工した後の完成品のこと(以下略)」「商品とは、経済活動において生産・流通・交換される物財のことである。(以下略)」となっていて、製品も商品も「いわゆるサービス」も含まれると補足しています。
さらに製品は、工業簿記での定義、商品はマルクス経済学の労働価値説まで述べています。
この定義から、
- 工場から出るまでは製品で、店頭に並べられたら(Webカタログに載ったら)商品になる。
- 農・海・鉱産物は市場に出された時に商品になる。
- パッケージングされ固有名を付けられたら商品だが、中味は製品
- スーパーで買ってきた商品も使う・食べる・飲む時は製品
- 物理特性(製造品質)の測定は製品調査、感覚特性(知覚品質)の測定は商品調査
というような区別ができそうです。
これはB2Cの世界ですが、B2Bの世界では、
- 工場に設置する機械などは、市場・店頭が常設さていないことが多い。
- 工場段階でユーザーごとにカスタマイズされる。
- 固有名が付けられることは少なく、○○メーカー製の××と表現されることが多い。
のように商品概念は弱くなります。
以上をまとめると
「交換過程にあるとき、自然産品や製品は商品になる契機を持つ」
ということがいえそうです。
ですから、
- ピカソの絵は美術館(個人)に所蔵されている時は「作品」でサザビーズに出されれば商品。
- 利根川の水は各家庭の水量計を通過するときだけ商品になる。
- 物置の古道具は、「何でも鑑定団」に出たときだけ商品の可能性を持つ。
- 新幹線も乗車券・座席指定券として発売された時だけ商品になる。
となります。
今回の神学論争の教訓は、リサーチは、リサーチ対象である4P+消費者を常に交換過程にある瞬間に近づいて見る(調査する)必要があるということでしょう。
商品の先に「ブランド」というものがあるようですが、これもいつか神学論争で取り上げたいと思います。
2008,10