コラム

「ナノ経済」って?

日経ビジネスの今週号(10/31)は「ネット消費の真の支配者」というタイトルでGoogleとamazonを中心にネット関連のマーケティングを特集していました。
記事の中で、「ナノ経済」「ナノマーケティング」という表現が目につきました。
大きな見出しにはなっていませんが、流行の表現になれるか探りをいれているような印象です。
「ネット経済」「ネットマーケティング」の言い換えに過ぎませんが、ネットが媒体の具体的表現なのに対して「ナノ」は抽象度が高く、ネットが実現した新しい価値を想像させます。
記事の中から、「ナノ経済」「ナノマーケティング」の意味するところを探ると、
「マスとしてのつながりしかできなかった生産者(販売者)と消費者が最小単位の個人と個別工場(店)とつながることで不可能だった新しい市場ができている。」
ということになります。
それは、検索連動型広告で可能になり、それを支えているのがネット検索技術の進化であるとなっています。
「全世界に広がる全ての情報にだれでも到達できるようにする」というGoogleやネット通販のプラットフォームをかつてのスパーマーケットのチェーンオペレーションのように使い、検索技術によって消費者を囲い込むamazonがナノマーケティングの典型としてとりあげられています。
さらに検索連動型広告は、巨大企業だけでなく規模として「ナノ」な零細企業と世界中の消費者をつなぐことでナノ経済、ナノマーケティングを実現しているとなります。
このことは、存在として「ナノ」な消費者個人の方向からみれば、全世界に買い物先(店)が広がったことになるわけで、双方にとってメリットがあるのだから、今後は全てがナノマーケティングになる(とは書かれてませんが)という勢いです。

ここで、ナノマーケティングなりナノ経済というような表現を使うほどの変化なのかという疑問がわきます。
CRM、1to1といった概念と大差はないといえます。その昔の大衆vs小衆・分衆と似たところもあります。
これは「マスコミ的上滑り表現」で終わる気がします。

2005,11

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