コラム
「カスタマイズの法則」 富澤豊 著
画一的に作られた高度資本主義社会の商品(サービス商品)をカスタマイズ(=自分用化)の視点で見直したおもしろい本です。
- 消費者(人間)は、カスタマイズの本能を持っている
- カスタマイズには3つのレベルがある。(おにぎり型、牛丼型、炒飯型)
- サービス商品のカスタマイズはサービス現場の創意工夫の余力にかかっている
という視点を提示し、
ロングセラーの条件として「カスタマイズの可能性(カスタマイズ余力)を残した商品」をあげて、過剰に高速回転するコンビニの新商品とそれを支えさせられているメーカーの商品企画の新しい方向性
を提案しています。
現在の高度資本主義は、エネルギーの浪費を前提にしているかのような発展の仕方をしていますがカスタマイズの視点は、新しい省エネ、エコの提案と言えます。
著者はリサーチの出身らしく、こういった本にありがちなおどろおどろしい表現(結論)に合うように強引にデータを読み込む(解釈する)という態度をとらず、ていねいにデータの裏付けを取っています。
初期の著作から一貫しているこの態度には好感が持てます。
(「下流社会」の著者は編集者であってリサーチャーではないと諦めますか?)
2008,9